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altnightの音楽用備忘録

Underworld / Everything, Everything

Everything Everything

Everything Everything



Underworld - Cowgirl [Everything, Everything]

Number

1. Juanita/Kiteless
2. Cups
3. Push Upstairs
4. Pearls Girl
5. Jumbo
6. Shudder/King Of Snake
7. Born Slippy Nuxx
8. Rez/Cowgirl

きっかけとか

たしか高1の夏か秋だったから、2003年くらいだと思う。高1のそのときはジャズではなくテクノ(結果的にデトロイト・テクノやその派生、有名どころのブレイクビーツ)を聴いていた。なにかこういろいろないかなと探していたときに、地元の TSUTAYA にあったので借りた。たしかどこかのブログで「これは名盤!」的なのを見かけた気がするし、それもある。なんかこう有名らしいのでそれっぽいのを借りたという、ただそれだけだった。
しかしこれはもう初めて聴いたときからかわらない。めっちゃクールでアツすぎる!なんていいサウンドなんだ、だめだ、アツい、最高だ。もう無理だ。はうまう。

どこまでいっても名盤すぎる

Underworld を語るときに、たぶん1つの頂点とも言えるアルバムだと思う。それはダニー・エマーソン以前以後という意味もあるのかもしれないけど、それまでの Underworld とそれからの Underworld を結果的に致命的に分けてしまうような、そんなアルバムだ。そしてそしてこのアルバムは言わずがもなの名盤だ。2000年ごろのツアーを集めたものをミックスだかエディットして結果的に作られた。DVD 版もあってそれのムービーには TOMATO というメディアアーティスト的な集団が関わっている。その TOMATO が関わったジャケも最高だが、まあおれはあくまで音を聴いている。
あんまりトラックを解説しても仕方ないけれど、全体的な構成としては Juanita/Kiteless - Cups - Push Upstairs にかけてミックス。Pearls Girl で軽くかまして Jumbo で落とす。Shudder/King Of Snake からアツくアゲてきて Born Slippy Nuxx と名曲をアゲてきて Rez/Cowgirl とアツくチルさせて終わる。アルバムとしても完成度が高くてしょうがなくて、特に 1-3 の流れと 6-8 の流れはもうかなり鉄板だ。

水口哲也はそこに Rez をみたか

RezUnderworld においてもかなり鉄板のキラーチューンだ。そもそもテクノ関係に手を出そうとした直接のきっかけが水口哲也のゲーム Rez であったし、どこかで「Underworld にもオファーを出した」とあった気がする。自分においてこの Rez というゲームも、そして UnderworldRez もけっこう個人的な感傷というか身にしみるものがある。自分の中においての Rez という存在。水口哲也Underworld
Rez と Cowgirl はたしか実際曲の成り立ちとしても似ているところがあって、たしか Rez がオリジナルで Cowgirl がそれにボーカルを加えたものかな?まあそこらへんはいいんだけど、とにもかくにもこの Rez/Cowgirl というミックス具合はヤバい。アツい。そしてチルする。後からまあ少しはテクノ関係を聴いたりしたけどこのバランス加減は絶妙だ。ダンストラックではあるが、完全にブレイクビーツにいくわけでもなく、しかしポップな感じでもなく、ヒップなホップでもなく、あくまでクールにアツい。Underworld はほんといいね。

オチとかないけど

Underworld 聴くなら、そしてテクノ関係のトラックを聴くとしたらまず最初におすすめしたいバランスのとれた名盤だなぁ。

凛として時雨 / just A moment

just A moment

just A moment



凛として時雨 『JPOP Xfile』

Member

TK(gt&vo)
345(ba&vo)
ピエール中野(dr)

Number

2009/5/13

1. ハカイヨノユメ
2. Hysteric phase show
3. Tremolo+A
4. JPOP Xfile
5. a 7days wonder
6. a over die
7. Telecastic fake show
8. seacret cm
9. moment A rhythm (short ver.)
10. mib126

なんとなしに手にとったアルバムだった

凛として時雨を知ったのはなぜだったのかはわからないし、なんで聞こうかと思ったのかもわからない。たしか大学4,5年ごろ久々に Janis にきたときに入店して目の前にある特集的な棚からてきとうになんとなく選んで手にとったのだった。それがこうにも自分にとってアガるバンドだとは知りもしなかった。

突き抜けるような絶叫と、高音、そこに導かれるのはおそらく灰野敬二

自分があまりに灰野敬二が好きすぎてそういうボイスパフォーマンスをついつい練習してしまってまあそれなりに出るようになってしまったのだが、それに通じる高音のシャウトがアツいバンドだ。3ピースとは思えなくらいの高密度で、これだけのことを成し遂げるのだからすごい。たしかどこかのインタビューで「最初はここまで高音になる予定はなかったんですけど、流れでw」みたいなのをみかけた気がしたんだけど、それがいい感じにアツいロックサウンドとなにかこう現代的な空気感がアツい*1

インディーズの頃とか、バンドがどうこうとかは知らない。けどほどよくアツい

自分は基本的には関連書籍やインタビューを読んでどうこうってのはあんまりなくて、ひたすらアルバム単体を聴きまくっている。音楽と演劇と映像と朗読などが分離された近代以後を生きている申し子みたいに、音単体を聞くことが多い。ジャケも歌詞もそんなに重視してない。だからロキノンだとかカルチャー方面からはいる人とかとはまた系譜が違うんだろう。いままで聴いてきたアルバムや音楽量に対して、ライブに行ってない方だと思う。舞台装置とは切り離されて音そのものを聞いている事が多い。そういう意味ではそれなりに偏った聞き方をしている。自分にとって凛として時雨というバンドがここまで突き刺さったのはたぶんそういうサウンドそのものが刺さったからなんだろう。ジャケも歌詞もパフォーマンスもインタビューも抜きで聴いてる。

アルバムとしての完成度も楽曲としての完成度も高い

メジャーデビューアルバムでかつスタジオ録音だからそれなりにかけているというのもあるんだろうが、それにしても完成度たかいなーって感心する。凛として時雨については今のところこのアルバム含めて4枚もっててどれも完成度高いけど、このアルバムはバランスが良いつくりになっていると感じる。簡単に言うと、聴きやすい。とっつきやすい。たぶん中学生の頃に聴かせたらハマっただろうなー。もちろんいまでも好きだけど。

オチなんてないけど

凛として時雨、おすすめです。ちなみに今期のノイタミナ枠のアニメ*2「PSYCHO-PASS」の OP にも起用されましたね。アツいですね。いいですね。この調子で良作をこれからも作り続けて欲しいです。


Psycho-Pass - Prologue & OP (Ep 1) 【Abnormalize】

*1:まあビジュアル系的なサウンドとかはあまり知らないので、そういう方面からするとわりとあるのかもしれない。けど、自分にとっては新鮮だった

*2:どちらかというと脚本が虚淵玄ってところで話題を集めてるけど

Merzbow / Merzbird

Merzbird

Merzbird



Merzbow - Black Swan (Merzbird) Masami Akita

Number

Recorded at Bedroom April-May 2003.

1. Black Swan
2. Mandarin Duck
3. Emu
4. Victoria Crowned Pigeon
5. White Peafowl
6. Brown Pelican

Merzbow はいつ聴いても最高すぎて胃に悪い

Merzbow を知ったのは大学初期だったと思うけど、実際に聴き始めたのは2年の途中くらいだった気がする。大学1年の芸術論という講義で Merzbow が流れていたのが印象深い(が、今考えるとなかなかな講師だ)。Janis にある辺境コーナー、マージナルと名付けられたこの棚まわりのものをあさってた時のふと思い出したのだった。あとは菊池大谷本「憂鬱と官能の学校」まわりの影響もなくはない。それで聴き始めたのだが、いまでは Janis にあった15枚程度のアルバムは基本的にすべて借りてしまった。Merzbow の作品数は100を超えているから1割でしかないからたったそれだけともいえるけど、やはり単一のミュージシャンでこれほどまでに借り漁ってしまう魅力のある人はそうそういない。

Merzbow(秋田昌美)なんて、どれを聴いても一緒じゃないか」

それはねーよ……と言いながらも実際どこまで違うのかがなんだかよくわからない感じではある。フリーインプロヴィゼーションのアルバムを聞くみたいに、これは自己を映す鏡のようなものでもあって、結局「なにが音として存在しているか」ではなく「自分はこれを聴かされてどう思うか」でしかないかもしれない。というと抽象画にも似ている(美術のほうはわからないけど、Merzbow という名前自体美術用語だったよね)。Max/Mspで機械的に操作されて結果的に存在したものがどこまで人間の意図した音足りうるのか?というと微妙な話だしたしかに似たようなものをひたすら量産しているともいえる。けど、自分もミニマルノイズの名付けてちょっとした録音をしたことがあるけど、やはりアルバムやトラックに名前をつけ、ジャケをつけ、録音もなんらかのかたちで操作している以上そこにはそのときの気分であるとかのなにかが残っているというのはある気がする。あるいは、自分では同じようなものをいつも作ってるつもりでも時を経るに連れなにかが変化していくというのはある。
秋田昌美の著書「ノイズウォー」は読もう読もうと思ってまだ読んでないのだが(Amazonの中古で5000円以上する)、以下の本では秋田昌美のやることは「音の内蔵をえぐり出すこと」「ある微小なサイン波ひとつあれば、それはいくらでも加工して仕立て上げることが出来る」というようなことが書かれてあった。彼の音楽はそういう無限に音の内側からつくられるのだとしたら、たしかに Merzbow の作品を聴き続けるのは実はただのマンネリズムなのかもしれない。けどまあ、おれは別にそれでいいや。それに、マンネリズムであるとか王道であるとかは、好きだ*1

Merzbird 、聴きやすいですね

今作 Merzbird 自体は自分が Merzbow を聴いた中でもけっこう新しいほうだ。録音もわりと新しい。このアルバムは意図的か知らずかわからないがわりと明示的な反復によるグルーブ感が彼の作品のなかでは比較的際立っている感があるので(意図的に反復感をなくしているような作品もある中で)、わりと聴きやすい*2。踊れるとまでは言わないけど、わりとポップな印象を受ける。まあこれは本当に印象でしかないけど、他の作品に比べるとなんか聴きやすいんだよね。

オチなんてないけど

Merzbow の名盤は 1930 らしいけど、自分にとってはそんなに区別はなくて、わりとこの Merzbird が聴きやすくてポップで好きです。

*1:でなければ Merzbow にかぎらず似たような「ジャズ」なるものをこんなに聴き漁ったりしないよね?

*2:とはいうものの、「なにがあればグルーヴなのか、ミニマルなのか、反復さえあればいいのか」という疑問への答えは自分では「なにかが一定周期で反復さえしていれば、それはビートでなくてもグルーヴになり、心地良い」ということになって、おれは「ミニマルノイズ」を録音した