Spnagle Call Lilli Line / or
- アーティスト: Spangle call Lilli line
- 出版社/メーカー: PSC
- 発売日: 2003/06/11
- メディア: CD
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Spangle call Lilli line-Nano
Member
大坪加奈(vo)
藤枝憲(g)
笹原清明(g)
Number
1. piano
2. rrr
3. dismen
4. B
5. nano(アルバムヴァージョン)
6. ma
7. metro
8. carb cola
9. ice track
10. soto
なんとなしに Janis でジャケと名前でティンときた
たし Jainis で借りたのは大学2年の終わり頃か、3年のはじめころだったと思う。いわゆる音響派に興味を持ち始めていたときに*1邦楽でそういうのやってるのいないかなってなんとなくてきとうに棚をあさってたときに名前とジャケでなんとなしに借りてみたのだった。
そのときは「あ、なんかいいなー」くらいのものでしかなかったのだけど、後々もうこのアルバムや SCLL を借り漁ることになるとは思ってもみなかった。
あれは大学4年、なにもできない鬱症状が進んでいたときだった
いわゆるシューカツというものに適合できなかった。いちおう3年終わりの2月にはいろいろがんばってみたんだけど、10数社ESだして、8社くらい説明会行って、結局面接は1回だけで、なんだかシューカツシステム自体にどんどん適合できずに孤独を深めていった。そのころは大学の友人とも疎遠だったし*2、例によってジャズ研はかなぐり捨てるように辞めたし、当時はまってたネトゲBF2142も落ち着いてきてしまって、さて、シューカツというところだった。
なにもできない自分が自己アッピールなんてなにもできないし、いいところなんてないし、Web系でプログラマーかインフラエンジニアやりたいってだけでなにもとりえなんてなかった*3。朝4時に寝付いて6,7時に親が起きてくるおとに怯えてどうにか寝て、16時ごろに起きて親が仕事から帰ってくる前にどうにか家を脱出してシューカツしているようにみせかける。そんなことばかりしていた。
ひたすら SCLL ばかりリピートしながら、死んだ魚のような目をしてヨドバシアキバを歩いていた
この音はやさしい。アコースティックと若干のエレクトロなサウンドがあわさった、そことなくアンニュイな女性のボーカル。ゆるりとしながらも確実にビートを刻む。この Spangle Call Lilli Line というバンドはなぜこうにもおれのツボをついてくるのだろうと思わざるを得なかった。アツいロック的なものを聴きたいわけじゃない。メタルでもプログレでもない。でも今はジャズは聴きたくない。どこかこう都会的で、しかしやさしい、そんな音がやさしかった。おれにやさしかった。そのときの一つのアルバムが、この or だ。
後々ひととおりのアルバムを借りて聴いたけれど、やはりこの or と Nanae あたりのころが一番自分にとってはしっくりくる。SCLL のアルバムはどれもカラーリング、味付けが丁寧に施されていて、このアルバムはすごくロックよりロックしてないし、でもゆったりというほどでもなく、ゆるやかに包み込んでくれるようなサウンドが全編に流れている。アルバムとしての統一感も完成度が高くていつまででも気がついたら3週くらいしてしまう魅力をもっている。
SCLL の代表曲にもなっている nano
CSLL のどのナンバーがどうこうってのはあまりないのだけど、やはり特別に存在が大きいのは nano だろう。冒頭の YouTube にあげたのも nano だ。これはもともとシングルトラックでリリースされてて、この or に収録されて、のちのちいろんなアルバムでこれのライブバージョンやピアノバージョンなどされている。それほど代表的な曲に仕上がっている。もちろん内容は折り紙つきで、この nano が気に入った人は SCLL をいろいろ音源を探して、借りるなり買うなりするといいと思う。SCLL のサウンドの魅力がこの1曲にはいっているというと言い過ぎだけど、それほどまでに素敵な曲だ。もういうことがない。
オチなんてないけど
大学4年時の鬱症状に近づいていた頃の自分の特別なアルバム。SCLL としても完成度の高いお気に入りのアルバム。いま聴きかえしていてもまったく色褪せない魅力がたしかに存在している。何の気なしに手にとったアルバムが、こんなにも音楽の体験を変えてしまうなんて、すごいね。