秋田昌美 / ノイズ・ウォー
- 作者: 秋田昌美
- 出版社/メーカー: 青弓社
- 発売日: 1992/12
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 13回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
あの Merzbow の秋田昌美がノイズ本、アツい
日本におけるノイズミュージックの巨匠にして最高峰とも言える Merzbow、その秋田昌美自身が書き下ろしたノイズ本。秋田昌美さん自体はアングラカルチャーな著書を何冊か出版されていて1,2冊読んだけどさすがの造形だった。でも音楽について語った本はこの本しかない。5年前くらいから知ってはいたけれど、当時から Amazon 中古市場しかなかったし値段は1万以上はザラ*1、しかもクレジットカードもなかったので買えなかった。しかし今ではクレジットカードもあるし、なんだか値段も少しは落ち着いてきたので買って読んだ*2。
読後感想
ノイズ・ウォー、もう読み終わってしまった。40分くらいか。
— altnightさん (@altnight) 11月 6, 2012
会社につく前にできるだけ言いたいことを言おう(といっても勤務中でもつぶやくかもだが)。まず、書籍としてこれは92年のものであること、そしてこれは70年代から80年代にかけて主にヨーロッパとアメリカの音楽を扱っている
— altnightさん (@altnight) 11月 6, 2012
で、その初期のノイズというのは70年代の時代背景としてテレビによるマスメディアやロックサウンドの台頭があった。それの反発ではないが、批判的なアナーキーな文化背景があることは伺える
— altnightさん (@altnight) 11月 6, 2012
死体のイメージ、セックス、ロリ、腐乱死体、殺人、そういったイメージや実際に人殺してたりしてヤバい界隈。マジヤバい。で、そのなかで「既存の音楽に対してインダストリアスなマテリアルな音楽」という位置づけが大きいというように見受けられた
— altnightさん (@altnight) 11月 6, 2012
インダストリアルなノイズとしてはSPKの話題がよくでてくる。アカデミックなノイズ・ミュージックとしてはやはりルイジ・ロッスオになってくる。しかし、この書籍ではあまりアカデミックあるいは現代音楽的な文脈のものは扱っていない。あくまでアメリカやヨーロッパのロックに対する反発だ
— altnightさん (@altnight) 11月 6, 2012
日本のいわゆるノイズ・ミュージック、ジャパノイズに関してはあとがきで若干触れているだけだ。やはり超大音量でやるパフォーマンスというのは日本独特らしい。おれはそこに見出されて身なんだが、そうらしい。
— altnightさん (@altnight) 11月 6, 2012
今考えると92年発行というのはMerzbowがMacBookに移行する前だろうし、CDが出てきた頃合いだ。当然このあとOvalのようなグリッチであるとか池田亮司のような方向性が当然あるんだけど、この刊行時には当然未来の話でアッた
— altnightさん (@altnight) 11月 6, 2012
で、おれにとってノイズ・ミュージックってのはどうしても密接に現代音楽やエレクトロニカ(おもにグリッチ)に近い印象を受ける。文化的背景がどれほど強かったか知らなかったので、それはとても有意義だ。おれとしてはアナーキーな文化背景はなくて、完全に音としての興味からノイズにはしった
— altnightさん (@altnight) 11月 6, 2012
アナーキーな文化背景や退廃的なイメージを拝借しているという意味では John Zorn の Pain Killer なんかはその文脈で言えばノイズといえると思う。
— altnightさん (@altnight) 11月 6, 2012
補足
なにがノイズであるかとかノイズミュージックの系譜をどこからとってくるかなど、またひとくくりにノイズミュージックとくくられるけど自裁はもうちょっと細分化されている。この本によるとロックやパンク的なインダストリアルな社会に対しての反抗のような形で出てくる SPK のようなものもあるし、現代音楽の文脈ではそれこそルイジ・ロッスオだ。で、現在に照らし合わせるとグリッチという手法の先駆者である Oval をあげられるだろうし、いわゆるジャパノイズとしてはロック・パンク・パフォーマンス的な文脈で非常階段というものある。非常階段からもっと音を追求しようとしたのがインキャパシタンツともある。グリッチの文脈からすると池田亮司の名前が出てきてもおかしくないだろうし、結果的にノイズ的とされることもある灰野敬二*3もいる。
自分にとってどういうノイズミュージックが好きで、また、演奏したいか
自分にとっては Merzbow が Max/Msp で「音の内蔵をえぐり出す」というのも好きだし、Oval などのグリッチ手法も好きだ。あまり非常階段のようなロック的文脈であるとかパフォーマンスにはあまり興味がない*4。灰野敬二はどれも好きだけど*5、結果的にノイズミュージックになってるのが好きだ。SPK とかあるいはクセナキスの録音もノイズとはいえるけど、しかし自分はそこまで好きでもないなぁという感じ。どうしても音そのものにこだわって聴いてしまうところがある。だからこそたとえばエレクトロニカのなかでもグリッチという手法を使っているものが好みであることが多い。
そしてじゃあ自分がどういうノイズミュージックをやりたいかというと、まあもう作品はある程度上げているが、ミニマル+ノイズというような感じだ。何回も録音して聴いているうちに自然とそうなっていった。ハウリングの音が大好きで、それを鳴らしていたい。それを一定の周期でずっとループしていれば良い。それを大音量で聴く。それはそれでストイックな方向に行き着いてしまっているけど、そんな感じだ*6。それが自分にとってのノイズミュージックだ。