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altnightの音楽用備忘録

秋田昌美 / ノイズ・ウォー

ノイズ・ウォー―ノイズ・ミュージックとその展開

ノイズ・ウォー―ノイズ・ミュージックとその展開

あの Merzbow秋田昌美がノイズ本、アツい

日本におけるノイズミュージックの巨匠にして最高峰とも言える Merzbow、その秋田昌美自身が書き下ろしたノイズ本。秋田昌美さん自体はアングラカルチャーな著書を何冊か出版されていて1,2冊読んだけどさすがの造形だった。でも音楽について語った本はこの本しかない。5年前くらいから知ってはいたけれど、当時から Amazon 中古市場しかなかったし値段は1万以上はザラ*1、しかもクレジットカードもなかったので買えなかった。しかし今ではクレジットカードもあるし、なんだか値段も少しは落ち着いてきたので買って読んだ*2

読後感想









補足

なにがノイズであるかとかノイズミュージックの系譜をどこからとってくるかなど、またひとくくりにノイズミュージックとくくられるけど自裁はもうちょっと細分化されている。この本によるとロックやパンク的なインダストリアルな社会に対しての反抗のような形で出てくる SPK のようなものもあるし、現代音楽の文脈ではそれこそルイジ・ロッスオだ。で、現在に照らし合わせるとグリッチという手法の先駆者である Oval をあげられるだろうし、いわゆるジャパノイズとしてはロック・パンク・パフォーマンス的な文脈で非常階段というものある。非常階段からもっと音を追求しようとしたのがインキャパシタンツともある。グリッチの文脈からすると池田亮司の名前が出てきてもおかしくないだろうし、結果的にノイズ的とされることもある灰野敬二*3もいる。

自分にとってどういうノイズミュージックが好きで、また、演奏したいか

自分にとっては MerzbowMax/Msp で「音の内蔵をえぐり出す」というのも好きだし、Oval などのグリッチ手法も好きだ。あまり非常階段のようなロック的文脈であるとかパフォーマンスにはあまり興味がない*4灰野敬二はどれも好きだけど*5、結果的にノイズミュージックになってるのが好きだ。SPK とかあるいはクセナキスの録音もノイズとはいえるけど、しかし自分はそこまで好きでもないなぁという感じ。どうしても音そのものにこだわって聴いてしまうところがある。だからこそたとえばエレクトロニカのなかでもグリッチという手法を使っているものが好みであることが多い。
そしてじゃあ自分がどういうノイズミュージックをやりたいかというと、まあもう作品はある程度上げているが、ミニマル+ノイズというような感じだ。何回も録音して聴いているうちに自然とそうなっていった。ハウリングの音が大好きで、それを鳴らしていたい。それを一定の周期でずっとループしていれば良い。それを大音量で聴く。それはそれでストイックな方向に行き着いてしまっているけど、そんな感じだ*6。それが自分にとってのノイズミュージックだ。

*1:しかもコレクター価格だと現時点で64000円という価格までついている。すごすぎる。さすがである

*2:ちなみに買ってから新たにまた中古市場に2冊でたが、今度は40000円。さすがにそれは手が出せない。買ってよかった……

*3:灰野敬二さん自身はあくまでロックであるということにこだわっているらしいが

*4:そもそも音楽において文化背景を考えることは比較的少ない

*5:とはいうが、不失者よりはソロや共演の方が好きだ

*6:ちなみにニコ動とYoutube に作品は上げているけど、やっぱライブなり同人 CD を出したいとは思ってる