Black Sheep / 2
- アーティスト: blacksheep
- 出版社/メーカー: doubtmusic
- 発売日: 2011/03/13
- メディア: CD
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blacksheep "The Voices of Time" (Ryuichi Yoshida)
Number
2011/3/13
1. 時の声
2. 重力の記憶
3. 滅びの風
4. 星の街
5. 星の灯りは彼女の耳を照らす
6. にびいろの都市
7. 切り取られた空と回転する断片
情報
恐れ多くも、師匠である
自分が大学2年のときジャズ研で「ちょっと行き詰ってきたしそろそろだれかに習いたいな」というときにバリサクでやっている人を探したら石森楽器で吉田隆一さんがやっていた。どうやら渋さ知らズ関連の人だ、ということでいってみたらこれはもう大正解で人生を変えるほどの人物だった。レッスンとしては基礎練もするけどいわゆるフリーキートーン(プギャーみたいなサックスの変な音)の出し方を教わったり、関連のよもやま雑談などもしていた。レッスン自体は1年でやめることになったけど、いまでも Twitter 経由で交流したり時折ライブ行ったりしている。恐縮ながらも弟子として認定されている。
そんな吉田隆一師匠の出演アルバムはけっこう聴いたけど、これはリーダー作だ。Black Sheep はけっこう好きなので何回かライブに行ったことがある。この2ndアルバムもスタジオ公開録音という形だったので当然見に行って演奏を聴いていた。
Black Sheep はまさに現代の最先端のフリージャズだ!
前作「Black Sheep」もよかったが、今回もいい。Black Sheep というバンド自体の構成がベースやドラムを抜いた変則的な編成で主にピアノのダイローさんがベースとコードを出しながら、吉田さんと後藤さんでハーモニーしている編成が多い。作曲も変拍子とまではいかないがちょっとトリッキーなつくりになっているが、何種類かのパターンを繰り返してやってそれとなく曲に戻して行ったり、またフリーキーに即興したりと、やはりこれはまさに現代のフリージャズだ。
アルバムとしてもキラーチューンやバラードめにおとしたりとラインナップもそろっているし、マスタリングもうまいので完成度が高く聴こえる。いいですね。
やっぱおれは「切り取られた空と回転する断片」がアツくてしかたないんだ
このアルバム冒頭にまず「時の声」がゴリっとしたナンバーでアツい。一定パターンを繰り返しながら少しずつフリーキーに即興が振りきれていき、最終的にはピアノのコードもゴージャスな感じで厚みを増す。まずやはりこれはアツい。
その後いくらか落ち着いた曲が何曲かか流れまたゴリっとした曲が流れ……ときたら今作のオリジナルとしては最後の、「にびいろの都市」がスローテンポで流れてくる。これだけ作曲は後藤厚さんで、また違った趣だ。フリー的というより、なんだか素朴な感覚が好きですね。
そして最後に待っているのは「切り取られた空と回転する断片」である。これは1stアルバムにもあるし、ライブでもほぼ毎回演奏されているし Black Sheep 初期の頃から演奏されていたキラーチューンだ。いくつかのリフパターンとテーマを繰り返した後、それぞれ即興パートにゆるやかに移行し、またテーマに戻ってくる。その流れも秀逸でとても自然に流れてゆく。フリーキーに暴れるパートももちろんあるけれど、それが単なる飛び道具になっているわけではく曲としての文脈、流れとして自然に挿入されている。この作編曲はさすがとしかいいようがない。
ちなみに1stアルバムでも収録されているし今回の2ndアルバムにも収録されているしライブでも頻繁に演奏される。もちろん曲の構造自体は変えていないから同じ曲なのだが、どれもやはり毎回違って聞こえて新鮮でいい。いいね。
オチとかないけど
ひいきとか言われてもいいから、Black Sheep 、おすすめです。現代の最先端のフリージャズのひとつのかたちがここにあります。1st もいいけどこの 2nd からはいったほうがどっちかというとキャッチーなのでいいかもね。