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altnightの音楽用備忘録

Spnagle Call Lilli Line / or

or

or



Spangle call Lilli line-Nano

Member

大坪加奈(vo)
藤枝憲(g)
笹原清明(g)

Number

1. piano
2. rrr
3. dismen
4. B
5. nano(アルバムヴァージョン)
6. ma
7. metro
8. carb cola
9. ice track
10. soto

なんとなしに Janis でジャケと名前でティンときた

たし Jainis で借りたのは大学2年の終わり頃か、3年のはじめころだったと思う。いわゆる音響派に興味を持ち始めていたときに*1邦楽でそういうのやってるのいないかなってなんとなくてきとうに棚をあさってたときに名前とジャケでなんとなしに借りてみたのだった。
そのときは「あ、なんかいいなー」くらいのものでしかなかったのだけど、後々もうこのアルバムや SCLL を借り漁ることになるとは思ってもみなかった。

あれは大学4年、なにもできない鬱症状が進んでいたときだった

いわゆるシューカツというものに適合できなかった。いちおう3年終わりの2月にはいろいろがんばってみたんだけど、10数社ESだして、8社くらい説明会行って、結局面接は1回だけで、なんだかシューカツシステム自体にどんどん適合できずに孤独を深めていった。そのころは大学の友人とも疎遠だったし*2、例によってジャズ研はかなぐり捨てるように辞めたし、当時はまってたネトゲBF2142も落ち着いてきてしまって、さて、シューカツというところだった。
なにもできない自分が自己アッピールなんてなにもできないし、いいところなんてないし、Web系でプログラマーかインフラエンジニアやりたいってだけでなにもとりえなんてなかった*3。朝4時に寝付いて6,7時に親が起きてくるおとに怯えてどうにか寝て、16時ごろに起きて親が仕事から帰ってくる前にどうにか家を脱出してシューカツしているようにみせかける。そんなことばかりしていた。

ひたすら SCLL ばかりリピートしながら、死んだ魚のような目をしてヨドバシアキバを歩いていた

この音はやさしい。アコースティックと若干のエレクトロなサウンドがあわさった、そことなくアンニュイな女性のボーカル。ゆるりとしながらも確実にビートを刻む。この Spangle Call Lilli Line というバンドはなぜこうにもおれのツボをついてくるのだろうと思わざるを得なかった。アツいロック的なものを聴きたいわけじゃない。メタルでもプログレでもない。でも今はジャズは聴きたくない。どこかこう都会的で、しかしやさしい、そんな音がやさしかった。おれにやさしかった。そのときの一つのアルバムが、この or だ。
後々ひととおりのアルバムを借りて聴いたけれど、やはりこの or と Nanae あたりのころが一番自分にとってはしっくりくる。SCLL のアルバムはどれもカラーリング、味付けが丁寧に施されていて、このアルバムはすごくロックよりロックしてないし、でもゆったりというほどでもなく、ゆるやかに包み込んでくれるようなサウンドが全編に流れている。アルバムとしての統一感も完成度が高くていつまででも気がついたら3週くらいしてしまう魅力をもっている。

SCLL の代表曲にもなっている nano

CSLL のどのナンバーがどうこうってのはあまりないのだけど、やはり特別に存在が大きいのは nano だろう。冒頭の YouTube にあげたのも nano だ。これはもともとシングルトラックでリリースされてて、この or に収録されて、のちのちいろんなアルバムでこれのライブバージョンやピアノバージョンなどされている。それほど代表的な曲に仕上がっている。もちろん内容は折り紙つきで、この nano が気に入った人は SCLL をいろいろ音源を探して、借りるなり買うなりするといいと思う。SCLL のサウンドの魅力がこの1曲にはいっているというと言い過ぎだけど、それほどまでに素敵な曲だ。もういうことがない。

オチなんてないけど

大学4年時の鬱症状に近づいていた頃の自分の特別なアルバム。SCLL としても完成度の高いお気に入りのアルバム。いま聴きかえしていてもまったく色褪せない魅力がたしかに存在している。何の気なしに手にとったアルバムが、こんなにも音楽の体験を変えてしまうなんて、すごいね。

*1:本人はそういう分類をされるのを嫌がっているが、杉本拓まわりなど

*2:とはいっても険悪ではなくむしろ良好ではあったのだけど、お互いあまり積極的になんかする仲ではないのだ。いまでも。

*3:高校生のころから自宅サーバーやそういうのはかじってたし、なにより自分はネットで育ってきた自負があったからだ

Charles Mingus / Mingus At Carnegie Hall

Mingus at Carnegie Hall

Mingus at Carnegie Hall

Number

1. C Jam Blues
2. Perdido

Member

1974年1月19日、NY、Carnegie Hall
Charles Mingus(b)
George Adams(ts)
Hamiet Bluiett(bs)
Don Pullen(p)
Dannie Richmond(ds)

Jon Faddis(tp)
John Handy(as,ts)
Rahsaan Roland Kirk(ts)
Charles McPherson(as)

出会い

たしか大学2年の夏くらいだったと思う。いちおうバリサク奏者としていろいろジャズでバリサクな人を探していたときにみつけた中の一人が Hamiet Bluiett だった。それで Janis には70年代ミンガスはあんまりなくて、まだリニューアルしてなかったころの御茶ノ水ジャズ館中古で見かけた。

Hamiet Bluiett は普通にアツい、しかしなにより、 Charles Mingus であり、 Roland Kirk だ(そして George Adams であり Don Pullen だ)

ローランド・カークも一時期けっこう集めてたたので「ミンガスで、ハミエットで、なによりローランドカークガいる!なにこれアツい!」という気持ちで飛び込んで買ったようなものだ。内容はもう言わずがもなの20分ジャムセッション x2 というもう大セッション大会。当時はそんなに気づかなかったが George Adams もいるし、 Don Pullen もいるし、編成としては70年代ミンガス+ゲストみたいな構成だ。実際たしかにミンガスのアルバムの中にもローランド・カークのいるアルバムはある。
まあもう豪華過ぎてもう何も言うことはないアルバムであることには間違いなのだけど、あくまでミンガスとダニーリッチモンドががっちり支えている中で上がどんどん好きなように暴れるというような趣旨だ。それがいかんなく発揮されていてどの演奏者をとってもいい演奏ができている名演だ。ミンガス自体はどう思っていたかしらないけど、70年代ミンガスはわりとそういう上にフリー系をもってきて自分が支えるみたいなものが多い印象。
その中でもやはりローランド・カークがひとつ飛び抜けている存在には聴こえる。実際盛り上がりの拍手もローランド・カークが一番大きい印象だ。ローランド・カークも時期や編成にもよるけど、こういうゴリ押しな雰囲気のアルバムの方が好きだな。自分はジャズ研としてはバリサクだったけれど、ローランド・カークから受けた影響というのは大きくて、実際サークル内のライブで演奏したりした(そして盛大に失敗した)。循環奏法とかも特徴的だしローランド・カークといえば3本同時サックスとかだけど、このアルバムではテナー一本でゴリゴリ押してくる。この人もブルースであるということが凄いよなぁ。ああ、アツい。

しかしまあミンガスはブルースな男よ

どの年代のどのアルバムを聴いてもブルースやってるし、ゴリゴリしているし、アツい。自分とミンガスで出会いがドルフィーつながりで高校だったから特別というのもあるけど、ほかのいろんなベーシストのことはよくわからないがミンガスだけはその太くて強くてなによりブルージーな音があまりにも前面に出ていて記憶に残る。失礼ながらいろいろアルバムや生でベーシスト聴いてきたけどあんまり違いが正直わからないところはあるけど、ミンガスだけは特別に違う。はっきり違う。この泥臭さ!まあこの泥臭さを好きになるかならないかはけっこう好みが分かれそうだけど、おれはやっぱりこの音が好きだし、プレイスタイルが好きだ。
ちなみに自分がジャズ研にはいるときにいれかわりに引退してた先輩でベーシストがいてその人はまさにミンガスな人だったらしい。人柄についてはよく知らないけど、主にプレイが。サークルのライブでもミンガスの曲をとりあげて演奏していたらしい*1。いいなぁ。なんでこう、自分がジャズ研に現役でいた頃と縁がなかったんだろうなぁ……。

オチとかないけど

何回も言ってるけどもう全員のプレイがいかんなく発揮されている名アルバム。たしか2000円くらいで売ってるし、ミンガス好きならぜひおすすめですね。

*1:たしか 5 Mingus あたりのなんかのブルースだったと思う

Eric Dolphy / Eric Dolphy at the Five Spot Vol.2

Eric Dolphy At The Five Spot, Vol. 2

Eric Dolphy At The Five Spot, Vol. 2



Eric Dolphy And Booker Little At The Five Spot Cafe- Aggression

Number

1. Aggression
2. Like Someone In Love

Member

Eric Dolphybcl & fl)
Booker Little(tp)
Mal Waldron(p)
Richard Davis(b)
Ed Blackwell(ds)

初めて買ったジャズのアルバム、すべての元凶

高校当時吹奏楽部で「自分の楽器の模範演奏を聴こう!」みたいな流れがあった。それで各いろんな楽器の人も探してたけど、バスクラだと音源がない。クラリネットアンサンブルとかもよくわからない。オケだとあるらしいけど聴こえないしわからない。ということで探して見つかったのがはてなのキーワードの Eric Dolphy だったわけだ。で、「Eric Dolphyで」「バスクラのアルバムを」「地元千葉のディスクユニオンであるものを」ってことで探して見つかったのがこれだ。TSUTAYAにはおいてなかったし。いろいろまあひどい話ではあるが、おれがこうして今も音楽にこだわり続けている元凶といえば元凶で、このアルバムにすべてを狂わされたと言ってもいいくらいだ。

Eric Dolphy のなかでもいまだにコーラスがわからない

ジャズスタンダートとかオリジナルでも基本的にはAABAだとかの8x4=32小節を繰り返す「コーラス」という単位があって、この作品のバスクラの Aggression はたしかライナーノーツによると 8-12-8-12 だかららしいし、音を後々とった感じ Bb 系のそこまで複雑なコード進行ではないはずなんだけど、よくわからない。特にこのドルフィーはもうわけがわからない。
純粋な吹奏楽で培養されていた少年がだ、いきなりこのバスクラを聴くんだ。この衝撃がわかるか?「こんな演奏でいいのか!」「というかこんな高音出せないし!」「というかそもそもバスクラの音じゃないし!」「リードミスしてるけど逆にかっこいいし!」このうねり具合はもう半端じゃない。いまだにやっぱりドルフィーは最高過ぎてどうとも言えないのだけど、よりによってこのアルバムのこの曲かよってのがもう。もう。

他の演奏者も曲もいいね

ドルフィーは最高だとして、ブッガー・リトルもイケてるし、ウォルドロンもいい。ベースの人はよく知らない。Ed Blackwell は後にフリー系でもちょくちょく見かけた気がするけど、あんまりわからない(というかいまだにドラマーのプレイングスタイルの違いがあまりわからない、生のセッションだとまだわかるけど)。
Like Someone In Love はいちおうスタンダードではあるはずなんだけど、これもなんだかよくわからない感じだ。スタンダードな演奏をしているような、していないような。そしてドルフィーのフルートはブルースゆずりなのかアタックの強いこれもまたイケている演奏をしていてなんともいえない*1

いま考える Five Spot まわりの評価

ドルフィーはだいたい 60年から64年に活動したのだけど、Five Spot での演奏はたしか61年。ミンガスとやってるのとかコルトレーンと演奏しているのもいいけど、バランスの良い編成でまだ Out To Lunch にいかないまでのなかではバランスの良いアルバムだと思う。まあこれが「バランスの良いアルバム」なんて言っちゃうんだからどんだけだよって話でもあるが、ヨーロッパツアーとかだとあんまりサイドメンに恵まれない感触あるし、バランスの良い編成のバランスの良いいい感じってのがよく出てると思う。Vol 1については、まあ気が向いたら書く。

オチとかないけど

ジャズの、そしてフリー系に導いたすべての元凶。聴きながら書いているけど、やっぱり最高だね。アツい。初めてドルフィーを聴きたい人におすすめするかといったら Far Cry あたりかなぁとおもってるのであれだけど、おれはとにもかくにもここからはいってしまったんだ。おれにとってのジャズはここからはじまったんだ。

*1:このアタックの強いフルートの音を聴いたことも、吹奏楽から気持ちが離れていくきっかけでもあった。こういう演奏ができないクラシックなんて!みたいな